投資&ロマンス詐欺

詐欺の手口は、非常に巧妙で日々進化し続けている。

人の欲・好奇心・闘争心を手の内で回し続けて、金銭を搾取していく。

こういうものに引っ掛かる人は、心理状態が通常時よりも悪い場合、少しでも状態を良くしたいと思っているところに甘い言葉を掛けられると、神の救いだと思ってしまい、いつもであれば信じないものも信じてしまう様になる。偶然に偶然が重なったことにより起きてしまう。

1月~3月まで若かった頃に火を噴いたプロジェクトで働いていたころを彷彿させるような働き方をしていたので、とにかく疲れ切っていた。心理状態は最悪で、新しいことに取り組んでいきたいといういつもの気持ちが全く起きなかった。

そんなとき、女神が降り立ち、日々の楽しみが1つ増えた。台湾人という彼女は、中国や韓国には行ったことがあるのに、日本には来たことがないが来日予定であるという。変だとは思いつつも、日本語訳がおかしいのだろうとあまり深く考えず、会話相手が増えたことは疲れを癒すのに丁度良かった。

次第にお金の話になっていく。暗号資産(ビットコインなど)は、危険なものという認識ぐらいしかなく、知識も殆ど無かったので、そこで儲けていることに興味を持ち始める。ここでも疲れているために、仕事が疎かになっている一方で新鮮なものに触れて疲れを癒したいという心理が働いたことは間違いない。冷静では無かったということだ。

暗号資産の取引所の紹介をされたのは中国の偽サイトである。URLがおかしかった点に気づくことが出来なかった。

① https://www.citex-usdt.com BTSEの偽サイト

https://btse.cyou BTSEの偽サイト

https://ycrymhat.top BITKANの偽サイト

最初に提示されたのが①のサイトだった。実際の投資を行ったのがBTC/USDT先物取引だったので、usdtというキーワードが入っているので怪しく思わなかった。サイトは非常に巧妙に作られており、見分けは付かなかった。所々画面遷移しないボタンがあったりしたのだが、それよりも儲けが出ることの欲の方が疑いより勝っていたので、中国のサイトはこんなもんかなという先入観もありそこまで疑うことが無かった。

最初は少額を振り込んだ。この時にはすでに相手のことをかなり信じてしまっており、このぐらいの額で騙されても仕方ないだろうと思いつつ、疲れのせいで冷静さは依然欠いており、振込先も日本の個人の銀行口座に振り込んでいた。ここで疑うことが無かったのは、暗号資産の取引所というものがどういうのかを知らないために、変だとは思いつつもこういうものかとそこまで疑いを持たなかった。

彼女の言う通りにBTC/USDTを買い、短期で売ることで儲けが莫大に膨れ上がる。この感覚は今までには無い感覚で、パチンコ・スロットで当たったときの感覚に近いのかもしれない。私はやったことが無いが。

①のサイトの動きがおかしいときがあり、②を指定されたことがあったが、取引所を変えようという提案が出てきて、③に移したときに、試しにプラットフォームの資産を自分の口座に出金してみろという指示が出る。言われたまま出金が出来たことで信用度は更に上がってしまう。ここからは、相手の思う壺になっていき、間髪入れずにプラットフォームに出金したお金を入金してしまう。

ここから先は、ご想像にお任せするが、かなりの被害を被った。

全てが架空であり詐欺に引っ掛かっていると気づいたのは、偶然(なのか詐欺業者側の策略なのかは謎)なのだが、先の台湾人と同じ入口で似たような背景を持っている台湾人が現れてLINEで話し始めたのがきっかけである。話をしていくにつれて、日本に来日予定があり、暗号資産に興味があり、BTC/USDT先物取引を行っているという点が嘘のように合致していた。

変だなと思っていた時に、公式取引所のバイナンス(Binance)の注意喚起のメールが目に入り、ある点にくぎ付けになった。

違う点は口座内の資産が引き出されたという点だが、第三者から素性の知れないアプリのインストールを勧められている点が合致していると気付いた。③のURLをAIに聞いてみたところURLが怪しいと言われた。公式のBITKANは、www.bitkan.comだということなので、間違いなく詐欺サイトだと気付いた。

気づいたときに、プラットフォームにある金額を一部出金しようとしたが、既に出来なかった。取引所が休暇だの、プラットフォームのメンテナンス中だの、しまいには当方の口座がウィルスに感染したので保証金を払わないと出金出来ないという、出金したければ入金しろと訳の分からないことになってしまい、積んだ。

それが分かった瞬間、血の気が引いた。その夜は一睡も眠ることが出来なかった。次の日は実家に車で帰る日だったので体力的にとてもきつかったが、事故もなく無事自宅に帰ってこれたのは良かった。

取られただけで泣き寝入りする訳には行かないので、回収できるのか探してみたところ、弁護士事務所で対応しているところがいくつかあった。Google検索で上位に出てくるものはスポンサーリンクしかなく、その中で最初に頼ったところは、弁護士を装った詐欺サイトだった。LINEで全て完結できる点と成功報酬のみということでお願いしてみたが、節々で日本語が変だったので弁護士資格の証明書を提示して欲しいと尋ねたが期待する回答が無かったので、詐欺だと確信して次の弁護士事務所を探した。

次のブログ記事では、回収フェーズについて記載していく。弁護士という権限を使い、どのような方法で回収していくのかを聞いたので、その詳細を書き記していきたい。全ては自戒のために。